一度表紙を取り外し、それを巻くようにして美しくブックカバーを取り付けてくれる書店

 この間、長崎のアミュプラザのなかに入っているメトロ書店で単行本を買った。私は本を買うとき、いつもブックカバーを付けてもらう。メトロ書店にはセルフレジがあるけれど、カバーを付けてもらいたいがために通常のレジに並んだ。普通、書店のブックカバーはたいていサイズが少し大きめだ。ほとんどの場合、上と下に少しずつはみ出している。ところがメトロ書店のブックカバーは、はみ出しが一切ない。

 メトロ書店では、わざわざ一度表紙を取り外して、ブックカバーを上下きれいに折って表紙を完全に巻いてくれる。そうして完成したブックカバーは、はみ出しがなくとても美しい。巻いているので、読みながら上下にずれることもない。メトロ書店のどなたがこのサービスをやり始めたのかはわからないが、私にとってはとてもありがたいサービスだ。いままではそれほど気にしていなかったのだが、一度メトロ書店のブックカバーを経験すると、他店のブックカバーのはみ出しがものすごく気になるようになってしまった。

 前に、とある会社の方と集客について考えたことがある。これをやってみてはどうか、あれはどうかと議論を重ねてみるが、話せば話すほど最後のほうでは「そんなことで呼べるかなー」とだんだんネガティブになってくる。そこで誰かがこう言った。いやいや「も」だよ、「も」! なるほど、「も」っていう思考をしないとなんにも進まないね、となった。「これをやればドカーンとくる」といった一発はないに等しいので、あれ「も」やるし、これ「も」やる。結局、小さなことの積み重ねなのだと。やったほうがいいことを全部やったら疲弊してしまうので、なんでもやるっていうのとはまた違うけれど。

 メトロ書店のブックカバーの付け方がとても良いからといって、商品がコモディティ(どの書店でも同じものを売っている)である以上、わざわざ買いに行くかといえば、それは多くはないかもしれない。だが、これはそう、「も」なのだ。メトロ書店で単行本や文庫を買ったら、ぜひ、カバーを付けてもらってみてほしい(全店、全スタッフの方がこれをやっているかは検証していません)。

 さて、写真は、長崎市の旧市役所だ。今年、2023年1月に魚の町にあった公会堂の跡地に新庁舎が完成し、すでに引っ越しも終わって稼働している。それからだいぶ経った秋に、はたと気が付いて、壊されてしまう前に撮っておきたいと思い立ち、撮りに出かけてみたところギリギリ間に合った。

 古いとは思っていたけれど、調べてみたら、1959年に建った建物なんだそう。一般的な耐用年数は鉄筋コンクリートで47年なので、64年間の歳月を過ごした旧市役所は耐用年数をはるかに超えて活躍した建物であることがわかる。イギリスのような国では築100年を超える建物もあるので、それから比べたらまだまだ使えるのかもしれない。でも、修繕費はかなり高額になるだろう。先に解体された長崎市公会堂は1962年に完成したものだ。解体方針が発表されたころは、存続を願う運動もあったが、残念ながら叶わなかった。旧市役所はその公会堂よりも古い。長い間、本当にお疲れさまでした。

 2023年9月某日撮影

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