台湾アカデミー賞5部門受賞作「1秒先の彼女」をリメイクした邦画「1秒先の彼」を観た

長崎市役所

 台湾アカデミー賞で作品賞のほか5部門を受賞した台湾映画「1秒先の彼女」をリメイクした邦画版「1秒先の彼」のレンタルが開始された。劇場でも観たのだが、おもしろかったのでDVDでも観ることにした。主演は岡田将生&清原果耶、脚本は宮藤官九郎。個人的に好きな俳優、好きな脚本家なので、贔屓めに見ているかもしれないが、久しぶりに本家よりおもしろいと思った作品だ。

 海外の映画をリメイクした邦画作品、逆に邦画がハリウッドなどでリメイクされた作品など、過去にいろいろ観てきたが、いずれにしてもやはり本家のほうがおもしろい。

 たとえば、イタリア映画の「おとなの事情」は、多くの国でリメイクされた作品だが、私は、本家イタリア版と日本版と韓国版を観た。個人的なおもしろランキングは、1位イタリア、2位韓国、そして、3位が日本だった。本家イタリア版は展開にやや無理があるのだけど、日本版では辻褄の合う理由をつくってそれを「説明」した。韓国版は、たぶん、あえてだと思うけど、原作に忠実にリメイクしていた。

 説明的なのは日本らしいな、と思うけど(悪い意味ではなく)、本家を先に観てしまっていると、「あー、ここを説明しちゃったか」という、少し残念な気持ちになってしまう。だが、そうはいっても「ここは観客の想像におまかせ」という部分をつくられてしまうと、たしかにモヤモヤすることが私にもある。

 最近では、私たち素人の間でもよく使われている「伏線回収」という言葉。私はこれまでずっと業界の方々の専門用語だと思っていたのだけど、日常的によく耳にするようになった。きっと日本人には(もちろん私を含む)、「想像におまかせ」よりも、きちんと「アレ」の意味を説明する「伏線回収」のほうがしっくりくるのだろうと思う。

 ネタバレになるが(これから観るという人は読まないで!)、「1秒先の彼」にもちょっとした伏線回収がある。

 花火師が今夜の花火大会に向けて準備をしている途中、一発試し打ちをするシーンがある。でも、打ち上げた瞬間にこのシーンは終わる。ある日、主人公(ヒロイン)は朝目覚めると、自分以外の時間が止まっていることに気がつく。そこからいろいろあって、そして夜になって、ある記念撮影をする。なんとその背景に花火が上がっているのだ。花火師が打ち上げた瞬間に時間が止まっていた、というのがここでようやくわかる。物語と何の関係もなかった花火師のシーンがここでつながるのだ。本家「1秒先の彼女」にはこのようなシーンはない。「弁当」のくだりも日本版のほうがおもしろいと思うし、さすが官九郎! と叫んでしまいたくなるリメイク版。おすすめです。

長崎市役所

 さて、写真は、長崎市役所。今年、2023年1月に開庁したばかりの新庁舎だ。設計は、山下設計・建友社設計・有馬建築設計事務所。長崎では3番目?に高い高層建築物となっている。

 2023年9月某日撮影

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