建築家・馬場正尊氏の「都市をリノベーション」を読んだ

タワーシティ長崎

 一級建築事務所OpenA代表で、建築家の馬場正尊氏の「都市をリノベーション」を読んだ。2011年に発売された本だ。

 日常的に建築写真を見る機会が多いので、特に意識していなくても建築家の名前を覚えてしまうことはよくある。馬場氏の場合は、リノベーション事例を見かけることがよくあって、そして佐賀の出身でいらっしゃるようなので、たとえば、嬉野温泉の和多屋別荘のBOOK&TEAスペース「三服」の設計もたしかOpenAが手掛けていて、それが身近に見られるというのでなんだか親近感がある(あれはとてもいい!)。

 本書に、「世界的に見ても住宅がここまで完成した『商品』として売られているのは日本だけだ」とある。自分で創る余地が残されていないから、どの住宅を見ても均一化しているというのは、写真を撮っていてもたしかに感じる。

 日本では、たとえば景観地を見学する際に安全性を「自己責任」として個人に委ねないので、過度な注意看板や柵やトラロープが張り巡らされ、逆にその景観を損ねている。それとよく似ている。

 私はスケルトン住宅が好きなのだが、本書によると、スケルトンを探している人でさえ「これって工事中ですよね?」と感じてしまうそうで、圧倒的な何もなさに負けてしまい、専門家でなければスケルトンには立ち向かえないのだそうだ。そこで、馬場氏が無印良品とのコラボレーションしたときには、スケルトン度50パーセントくらいの住空間を企画したのだとか。スケルトン度50パーセント・・・とても魅力的だ。

 九州北部エリア(福岡・佐賀・熊本・長崎・大分)でスケルトン50パーセント(100パーセントに近くてもかまわないけれど)で撮影可能な住宅をご存じでしたら、ぜひ、無料で撮影させていただきたいのでご一報いただければ。それくらいスケルトン好きなのです。

タワーシティ長崎
旭大橋とタワーシティ長崎

 写真は、GRⅢのワイドコンバージョンレンズのテストで撮った長崎市の「タワーシティ長崎(高層分譲マンション)」とその横にある旭大橋。

 2024年4月某日撮影

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