認知科学者・苫米地英人博士が書いた「オーセンティック・コーチング」を読んだ

長崎交通産業ビル

 本を読んで、おもしろかった本、役に立った本はつい人にも薦めたくなるのだが、「オーセンティック・コーチング」は少し違う。人に教えたくない。そう思ってしまうほどの良書なのだ。オーセンティックとは、「本物の」を意味する。

 本の帯には「奥義公開」とあるのだが、これはまさに奥義そのもの。Amazonの紹介文には、「プロのコーチはもちろん、コーチングに興味のある方、そして、『現状の自分に満足できない』『自分を変えたい』と思っている方にとっては必読、必携の一冊になります」とある。私はどちらかというと、後者の気持ちでこの本にたどり着き、そして読んだ。

 要約すると、「ゴールを現状の外側に設定する」。このわずか14文字にすべてが集約されている。多くの人は「現状から抜け出したい」と言いながら現状の内側にゴールを設定している。売上を倍にしたい、社長になりたい、などはすべて現状の内側なのだと述べている。売上を倍にしたり、社長になることが、現状の内側? 最初は意味がよくわからなかった。だが、読み進めていくうちにだんだんそれがわかってきた。「理想的に物事が進めば叶う夢はどこまでいっても『現状』である」。たしかにそうかもしれない。

 現状の外側に行くには、まず、これまでの経験や他人からの影響によって作り上げられたルールや常識、無意識のうちに出来上がってしまった縛り、つまりブリーフシステムが変える必要がある。ブリーフとは、「信念」のこと。自己の信念を変えられるほどのパワーを持つのは、他人の言葉ではない。自分の言葉のみがその力を持つのだ。コーチの役割は、相手が自分で言葉を生み出すために、その人のなかに不安をつくっていくことであるらしいのだ。

 ここから先は、実際に「オーセンティック・コーチング」を読んでいただきたい。このあとも、こうだから、こうする、という、腹に落ちる明快なロジックが展開されていく。だが、正直なところ、きっと私はまだわかっていない。理解を深めるために、あと何回か読んでみる必要があると思っている。読んで、一緒に現状の外側へ行きませんか。

 さて、写真は、長崎市の長崎交通産業ビル(長崎県営バスターミナル)だ。1964年、長崎県と長崎商工会議所が共同で建設した。今年で築59年とだいぶ古い。少し前には、長崎駅の北側へ移転計画もあったが現在は白紙となり、現地での建て替えが有力となっている。

 2023年9月某日撮影

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