雑誌Oliveやrelaxの元編集長の著書「49冊のアンアン」を読んだ

長崎港ターミナルビル

 伝説の雑誌、と言ったら少し大袈裟かもしれないけれど、あの「Olive」や「relax」の創刊編集長をやっていた椎根(しいね)氏の著書「49冊のアンアン」を読んだ。

 「アンアン」とは、もちろん雑誌ananのことだ。ananは、フランスのファッション誌「ELLE」の日本語版「anan ELLE JAPON」として1970年に創刊している。「49冊の」というのは、天才AD(アートディレクター)堀内誠一氏がADを務めた創刊から49号までの49冊を指している。当時、ADは編集長より強い権限を持っていたそうだ。創刊から49冊のananは、堀内氏がつくったと言っても過言ではない。著者の椎根氏はこのときに堀内氏とともにananを制作している。

 椎根氏は、この本のなかで堀内氏の才能を数多く紹介している。なかには、なるほどそれも才能かもしれないと思ったものがある。「誰でも知っている場所の、誰も知らない撮影スポットを知っている」などがそうだ。同じ場所で撮影をしたとしても、みんなが同じような写真になるわけではない。背景や光の選び方がそれぞれ違うからだ。撮影当日に現地で見つけるというより、「いつも」そういう視点で日常を見て、自分のなかにストックしておくことが才能なのかもしれない。

 ところで、本書のなかで「スチリスト」という、私にはちょっと聞き慣れない言葉が出てきた。「stylist」をフランス語読みすると、「スチリスト」になるらしい。私はこれを見て、「これだ!」なんて思ってしまった。もちろん、スタイリストになんてなれやしない。私が思ったのは、「styl」でなく「still」のほう。「スチル写真を撮る人」という意味で「stillist」というのはどうだろう。「stillist」を名乗るのも悪くないな、と。私は写真(スチル)が好きなのだ。

 まもなく、CanonのR5markⅡが発表される(という噂)。ずっとCanon(「5」シリーズ)を使い続けてきたけれど、もしも、markⅡも相変わらず普通のバリアングルモニターだったとしたら、stillistとしては、チルト式モニターを採用している富士のGFXなどに乗り換えることも考えるべきなのかもしれない、なんて思っているところ。

長崎港ターミナルビル

 写真は、GRⅢのワイドコンバージョンレンズのテストで撮った、長崎港ターミナルビル(通称ビッグビット)。長崎市内の建築物のなかでは、特に好きな建物だ。

 2024年4月某日撮影

関連記事