1915年に発表されたジョン・バカンの小説「三十九階段」を読んだ

池島

 1915年に発表されたスコットランドの作家ジョン・バカンの小説「三十九階段」を読んだ。1935年にはアルフレッド・ヒッチコック監督によって映画化されているようだが、私がこの小説を知ったのはごく最近のことだ。アメリカの絵本作家、エドワード・ゴーリーのイラストとともに新装された復刻版が今年になって発売され、書店に並んでいたところを見つけて購入した。

 一応、スパイ小説ってことになっているが、主人公がスパイなのではなく、ひょんなことからスパイ団と警察の両方に追われるはめになった主人公を描いている。逃亡小説といってもいいのではないだろうか。

 それにしても「逃亡」をテーマにした物語って、どうしてこんなにおもしろいのだろう。私は、映画「逃亡者」が大好きだ。サンドラブロック主演の「ザ・インターネット」やロシア映画の「ラン・スルー・ザ・ナイト」なども主人公が逃げる物語でとてもおもしろい。追い詰められながらも、寸前でかわしていくスリル。「三十九階段」も何度も危ない目に遭いながら、主人公が自らの機転によってそれをかわしていく物語だ。

 ところで、タイトルの「三十九階段」の意味は、物語の最後のほうにならないとわからない。原題も日本語訳と同じの「The Thirty-Nine Steps」らしいのだが、個人的にはこれじゃないほうが良いと思う。100年以上前に書かれた小説のタイトルにとやかく言うのもなんだけど。

 

 さて、写真は前回に引き続き、長崎県の池島。「8階建てアパート」の裏手(南側)にあるアパート群。このあたり一帯は、人が住んでいる気配は感じられない。

 2023年12月某日撮影

関連記事

コメント1件