マヤ、アステカ、テオティワカン文明の魅力に迫る「古代メキシコ」展を観た
福岡の九州国立博物館で開催された「古代メキシコ」展を観た。福岡開催は12月10日で終わってしまっているが、来年2月6日からは大阪の国立国際美術館で引き続き開催される。古代メキシコには様々な文明があったようだが、本展では、「マヤ」「アステカ」「テオティワカン」の3つの文明について焦点を当てている。
詳しくは公式サイトを見ていただければと思うが(→特別展「古代メキシコ」)、私が感じたのは、古い「テオティワカン」と比較的近代の「アステカ」が混じっていても、それほど違和感がないということ。日本でいうと、弥生時代と室町時代くらいの違いがあるのに。テオティワカンが高度な文明だったのか、アステカ文明が遅れていたのか。マヤやアステカが先進国スペインに植民地化されてしまったことを思えば、やはり文明が遅れていたと考えるほうが良いのかもしれない。当時、大航海時代を迎え、船で世界中を巡っていたポルトガルやスペインとの差は大きい。
ふと、いまの仕事のやり方や、もっと大きくいえば仕事の「あり方」も、小さな殻にこもっていたら古くなって滅びるのかもしれない、とそんなことを思った。
だが、よく見るとアステカ文明でつくられたものは、それが何に使われていたのか形からすぐにわかる。たとえば、笛などはとても近代的でどう見ても笛にしか見えない。展示の目玉の一つになっている「鷲の戦士像」は、現代のアニメにも出てきそうなデザイン。アステカ文明のデザイナーはとても先進的だったのかもしれない。
本展にはエジプトなどの古代展でよく見られる本物のミイラの展示はない。その代わりといってはなんだが、復元された本物の装飾品(マスクなど)が、つくりものだが原寸大のミイラに装飾して展示されている(通称「赤の女王」)。本物のミイラを何度か見たことがあるのだが、その場の雰囲気というか、オーラというか、たぶんこちらが緊張しているせいなのだろうけど、厳粛なムードが漂っている。ダミーとはいえ今回もそんな印象があった。
古代展は楽しめたのだが、残念だったのはカメラを持っていかなかったこと。九州国立博物館を撮りたかった(そっちか)。建築家、菊竹清訓が設計した建物でとても美しい建築物なのだ。大宰府は普段、なかなか行かないところなのでこの機会に撮りたかった。残念。ちなみに私は美術展などに出かけても、展示物の写真はあまり撮らない。写真を撮る目的がないからだ。SNSに使うことはないし、記念に残すこともしない。写真を撮るのに忙しくなるより、もっとその場の体験を大事にしたい。
ところで、大宰府といえば梅ヶ枝餅。私の個人的なランキングは、1位やす武、2位きくち、3位かさの家だ。ただし、かさの家の梅ヶ枝餅は冷凍されたもの(電子レンジで解凍し、オーブントースターで軽く焼くとカリッとしておいしい)がスーパーで売られているので、結局いちばん食べているのは、かさの家なのだけど。みなさんの意見はいかがだろうか。
さて、写真は、今回建築物ではないが(正しくは工作物?)、長崎市で撮った電柱である。市街地の飲食店の方から聞いた話だが、海外からの観光客はみんな電柱や電線の写真を撮っているそうだ。あの汚さにノスタルジーやおもしろさを感じるのだろう。建築の外観を撮っていると、いつも電線は邪魔だし、あの汚さにうんざりするのだけど、私が政治家や役人だったとしてもコストや手続きが膨大すぎてあれを全部埋めてしまう気には到底ならないかもしれない。
2023年9月某日撮影